ひろの会

(hironokai.org)

警察が交通事故を捏造する理由

第1節 警察が捏造する理由
 警察もむやみやたらと捏造するわけではありません。あなたが原因を提供しているのではなく、全く異なったところに捏造する原因があります。ここでは、捏造に巻き込まれた人は全くの被害者であり、その時の警察は組織的な犯罪者です。

1. 行政上の瑕疵が存在するとき
 道路が危険な道路であったり、見えない標識や信号機であった場合で、そのことが原因となって交通事故が起きた場合、それが表立てば、行政責任が追及されることとなります。責任追及を避けるために個人的な過失に責任を押しつけ、冤罪が発生します。

2. 閉鎖的な警察特権が私的に乱用されたとき
 警察にしか捜査権はありません。一般人は立ち入ることが出来ません。内部でどのような情報を掴みどのように処理したか、その経過は警察内部にしか判りません。相手が警察関係者である場合、内部の管理責任が問われないようにその事実から目をそらすように機能します。最近は、警察官本人の不祥事は隠すことが出来ないので表に立ちますが、親族や婚約者など、表立っていない関係者には、徹底的に職権を濫用して事故原因を捏造しようとします。

3. 警察幹部の私的な濫用
 ほとんどの警察官は地方公務員です。特権を悪用して地方権者に恩義を計ったり、地方自治体や職員に過失がある場合に、それに差配を加えたりします。閉鎖的な関係者内で為されるので、こそこそと身内で刑事事件の因果関係に手を加えることが出来ます。
 独占的で、客観的に監視する第三者機関が存在しない特異な構造が冤罪を生みやすい機構を作り上げています。
第2節 下川浩央事故で何故捏造したか
 下川浩央事件では、事故態様の真相を求め、そこから事故が発生した理由を探って行き、事故の実体と異なる訴追理由の謎を解きほぐすことを通じて、捏造した理由に辿り着きました。
 結論的にいえば、上記の理由全てが絡んだ冤罪事故であることが判りました。明らかに犯罪である冤罪を問うた裁判で、裁判官は警察の実況見分調書に依ってしか判決を下さない実状が示されました。
 冤罪を作り出すのは警察ですが、成立させるのは司法制度です。この腐れ切った関係を市民に開示して、正常化する術を探るのも「ひろの会」の目的の一つです。
第3節 捏造であることにどう気付くか
 警察は独占的に情報を手にし、因果関係まで筋を通し、検事によって司法裁判に耐えられるように練り上げられて訴訟を提起します。「おかしい」とか、「納得行かない」という感触は持っても、それを解きほぐすことは極めてむずかしいと言えます。
 まずは事実と真相を追い、事故態様を整理し、何故納得の行かない事象が生じているのか、現場、事故車両、そして目撃者等々の関係者を訪ねて廻り現場の環境や道路を管轄する行政に情報を求めることにより、疑いを確信に変えてゆきます。確信的疑いに基づいて調査会社(いわゆる探偵)を使って調べると、隠れた事実、秘されていた捏造原因が浮き出てきます。この時には裁判はかなり進んで、思うように展開できませんが、真実を追って市民としての闘いは徹底的に続けるべきだと考えております。
 「ひろの会」では、冤罪の可能性のある事案について,調査委員会を立上げ、市民・社会に対して是正を求める運動体を形成したいと考えております。
 賛同者は是非正会員となって一緒にご活動ください。

警察の交通事故捏造の手法解説

第1節 捏造手法
 事実と異なった事故態様を導き、事故原因を歪曲するためには、もっともらしい推論を作り上げられます。

1. 真実を歪曲する情報コントロール
 警察には捜査権があり、警察は、何人もおかすことが出来ないことを盾にとり、都合良く情報をコントロールできます。悪用してもそれを取り締まる機関はありませんし、発覚しても見落としたとか、掃除して状況が変わったので記録しなかったとか、責任の所在を不鮮明にします。これらは常套句ですから、冤罪を作り出す意図的な対処として注視し、市民に実体を披瀝し、社会的な課題として俎上に載せてゆくべきです。
 以下のような情報コントロールがあります。
 1) 非開示・隠蔽
 2) 黙殺
 3) 恣意的開示

2. でっち上げ
 都合の良い事実を組み合わせてストーリーを作ろうとしても出来ないとき、架空の事実を作り上げ、異なった事故態様を作り上げます。これをでっち上げといわずして、どのようにいうのでしょうか。警察の手の内ででっち上げるのは下記の事項です。
 1) 目撃証言
 2) 実況見分写真

3. 誘導・歪曲
 擦過痕などは、部位だけに目を奪われると前からなのか後からなのか、向きが判りません。意図する方向に或いは意図した要因に誘引します。場合によっては、矢印で大切な疵の特徴を覆い隠すことも行われます。

4. 権威付けによる判断停止
 「科学は嘘をつかない」とは有名になったフレーズです。実は「科学は嘘をつかない」から、捜査資料で虚偽を作り上げることが出来るのです。本質と異なったところに論点を展開し、科学や研究所の名前を使い、真相から目を遠ざけ、工学者ならば、あり得ない事実から、作り上げた虚偽の場に事故当事者と裁判官の目を欺きます。科学捜査研究所は、平気で欺くことに加担します。

5. 組織的整合性を装った演出
 官庁で流布される書類は、形式や体裁に注意が払われます。申請書類で皆さんご経験済みです。体裁が整えば、第一関門を突破できます。まして裁判官は文官で工学に不案内の方が多いと思われます。科学と研究所の名前を冠した科学捜査研究所が加担し、権威を与え、目撃証言者まででっち上げられていると、完璧に冤罪を成立保証する文書となります。警察機構による犯罪と呼ばずしてなんと呼ぶのでしょうか。
第2節 浩央交通事故での警察捏造手法
 浩央バイク事故で具体的にどのように捏造手法が適用されていたのか、会員用に設けられた事例資料に、具体的に示しています。上記の捏造手法が随所に盛り込まれ、警察が冤罪を作り上げる実体がつぶさに見てとれます。

司法制度を通じた交通事故冤罪の成立過程

 民主主義の大事な根幹3権の一つである司法は、独立性が認められ、行政・立法から独立して市民を守るために機能していると、普通の市民はそう教えられ、信じています。本当にそうでしょうか。交通事故という誰でも巻き込まれ直面せざるを得ない場面で、不条理な冤罪が司法制度を通じて成立する過程が大手を振ってまかり通っているとしたら、それこそ市民生活が脅かされる、大変な危機なのです。下川浩央バイク事故を事例にその実態を簡潔にご説明します。
 まず、警察及び検事から冤罪事件が作られていることが問題ですが、その問題点については別の章のところで解説しています。この章では、裁判を通じて冤罪を防ぐことが出来るのか、或いはどのように冤罪が成立してしまうのかを解きほぐします。
第1節 下川浩央交通事故冤罪に関わる判決文と誤判決
 下川浩央冤罪交通事故の判決文の実態を示します。

1. 熊本地検刑事訴追
 この段階では、現場や車輌等の事故直後の事実は警察だけが一元的に把握し、訴追方針が決まるまでは「捜査中」の一言だけで、理解する為の詳細を知ることが出来ません。また、通常は、交通事故鑑定の専門家もご存じないでしょうから、情報も体制も不整備ということになります。途中弁護士に連れられて検事にお会いしましたが、見せられた捜査書類は、一方的な決めつけで構成されている書類なので、理解しようと頭を巡らすだけで精一杯で、問題点や疑問点を絞り出すことも出来ない状態でした。
 そして事件発生から 2 年目に入った年末、「バイクの追突事故。被疑者死亡により不起訴」と伝えられ、手元に書類が届いたのは、松の内が明けた後でした。おかしいと思っても反論する事実はつかめませんし、解析する能力も無いので、これに従うしかありません。弁護士は民事があるからと慰めます。最初から刑事事件で真相を知る努力を諦めているとしか思えません。

2. 熊本地裁民事裁判
 熊本地裁では裁判所鑑定が行われ、鑑定を行った森和也鑑定人が警察の捏造された態様に併せたシミュレーションを行った鑑定書を提出しました。無理に格好を付けた鑑定書だったために路面のタイヤ痕結果をプロットすると、実際のタイヤ痕とは向きが反対で、全く異なる形状でした。その矛盾を指摘した意見書を私が提出し、相手弁護士まで「これは論議する必要がある」と指摘したにも拘わらず、論議を一切することなく、地裁裁判官は、法廷を閉ざしました。人事異動に合わせて結審することを優先し、真相を究明することを怠りました。論議を煮詰めていないので当然ですが、判決文は、交通事故を起こすような異常事態があったことに目をやらない、通常交通状態をベースにした常識論を持ち出し、「常識に合わない」との理由で問題指摘を却下し、更に、警察だけが作り上げた「追突」という決めつけを、まさに浩央と会話した救急隊長の証言を否定し、警察が掃除して隠した為に写っていないないガラス片類を、裁判中に確認もせず、実況見分調書で掃除したと書いてあるのに、「ガラス片が写っていない」と勝手に誤指摘し、このように警察を擁護するための論法を重ねて判決文を構成します。

3. 福岡高裁民事裁判
 「ザ・スクープ」等のテレビ報道もあり、「疵合わせ検証」に同意して始められた福岡高裁の裁判は、第三者である「疵合わせ検証の鑑定人」が、不勉強で不誠実な対応が原因して、時間内に検証が出来なかっただけでなく、容易に変形する樹脂材に着目して衝突角度を割り出そうとする、不適合が原因して、高裁裁判官をして「本件事故痕跡の形成過程全てを明らかにすることは出来なかった」といわざるを得ない状況となりました。正否を付けなければならず、警察の調書と全判決を否定する難しさがあるのか、他にある証拠を無視して、「乗用車のブレーキ痕が無いことから自動車が動いていたと認定できない」とか、「乗用車左後輪の擦り痕」を「衝突後に乗用車が動かされて付けた痕」と、速度や力など工学的にあり得ない運動形態を作り上げて、実況見分調書を守る判決を下しました。

4. 最高裁
 実況見分調書添付写真を接写し、実写真と同等の証拠写真を入手し、その写真画像処理ソフトを活用して、路面に飛散した落下物や赤色系のレンズ片を探し、衝突地点を示すそれらの破片の存在場所を平面図に落としました。それらの破片は、交差点付近にはなく、もっと離れて路面タイヤ痕を付ける位置より手前にしか存在しないことを示しました。交差点に停止していた乗用車に追突したのではなく、左折巻き込みした乗用車がバイクを引きずって出来たとしか考えられない新証拠を図面化して提出した意見書だったのですが、これを見ることもなく脚下。基本的に重大な憲法審査に関わる重大な法律違反などがないと応えないのが最高裁とのこと。提出した発見事実は、審査に値する新事実にならないと言うのでした。

5. 冤罪告発熊本地検
 改めて警察が実況見分調書で事実を捏造した、として刑事告発しましたが、検事が、時効成立時期になるまで処理を遅らせ、その不当性を審査する検察審査会で,妥当性を審査すること自体が不可能となる時期に通知してきました。検事職権で刑事訴追を無効化されました。この、国会でも焦点となった証拠開示に関し、マスコミに情報漏洩したと一部で報道された検事と同じ名前のこの検事は、当初会見したときには、理解と同情を示しましたが、実際に行ったことは、卑劣な切り捨てでした。

6. 東京地裁民事裁判
 東京地裁の判事は、赤色物体が交差点から離れた位置にあり、交差点付近には無いから追突説は認められないことを無視し、脱落した赤色系の脱落物と路上のこれらが同じ物体であることは認めるが、同一物とは認められないこと(そのために警察は実況見分調書から削除したのですがその意図には目をつむり)を理由に、証拠捏造の作為性を否定します。また、中景写真に写っている物体が遠景写真にないことを、作為性を指摘するのではなく、遠景だから見えないことにして否定します。遠景でも見える証明説明文を示しても無視します。見えては警察の偽造を認めざるを得ないからでしょうか。
 また、どの事故現場でも被害者が路上で苦しんでいれば、人が入って救急活動を行っているものですが、この救急活動をして踏み荒らしたから証拠写真を撮影しなかったことが正当であると認定しています。何処の交通事故現場でも証拠写真は撮れないと言っているのと同じ、現実を無視した見解なのですが、鉄面皮に実際にはあった事故直後の写真を隠して、都合良く加工した写真だけ並べた警察を擁護します。極めつけは衝突による乗用車の移動で、菅沢鑑定を承けて、乗用車が動いたのではなく、救急活動で救急隊が乗用車を動かしたことは認めました。つまり、見てきたように語った偽証証言者の証言が否定されたのです。結果、捏造目撃者の偽証があったことは実質的に認めたのに、それには触れず、つまり警察の捏造には触れません。
 路面タイヤ痕を正確に書かなかったことや乗用車左後輪の擦り痕などの事実についても、因果関係を含めた詳細な解析事実には目をつむり、警察が事件に関係ないと見なしたから記録しなかった。だから、疑念はないと済ませます。警察の意図を容認することを前提の認定では捏造が審議される裁判とは言えません。

7. 東京高裁民事裁判
 実質的な審査などはせず、東京地裁判決の若干の字句訂正で済ませました。東京地裁で認められた内容から、偽証証言が明確となり、相手側の主張も根本から崩れてきたのに、そのことには触れようともしません。
第2節 誤判決の特徴
 裁判官は、説明の途中では争点となった事実認定に耳を傾けたかのように記載しますが、結論を出すところでは、警察の事情に理解を示し、警察が作成し検事が認めた書類を全面的に支持します。警察の実況見分調書を疑うことはタブーのように守り通し、民間の検討結果は、是非もなく無視します。
第3節 誤判決を防ぐには
 誤判決を書いても裁判官が責められることがなく、いくら論理の通らない判決でも問題とされることがない現状では、法廷をベースに非を争っても誤判決を防ぐことはむずかしいようです。まず、裁判制度での審理が如何に杜撰であるか、市民に広く知っていただき、そのことを通じて司法界自体に浄化を期待するしかないようです。それだけ司法界の透明性や開明性は曇っています。
 起点は警察です。事故発生時の情報は国民のために全面的に開示し、推論過程も透明にすれば、刑事捜査の段階から、偽証や捏造がなくなり、冤罪事件がなくなってきます。

交通事故調査方法事例

 市民自ら事故解析する為に必要な事項の要旨を以下に示します。具体的な内容は、会員データベース(資料編)に掲載しています。
第1節 事実に至る情報の収集
 速やかに出来る範囲内で以下の情報を収集します。

1) 事故直後、収容された病院では、看護の邪魔にならないように気をつけながら、なるべく詳しく身体の損傷ダメージを観察し、記録します。医師や看護師の入院時の状況や治療経過を詳しく聞き、記録します。運び込まれた装備や着衣類は大事な証拠になりますので、大事に保管します。腐りやすいものは、写真撮影してダメージの状況を記録してから処分します。

2) 重篤なダメージを受けていた場合、健常な肉親のあなたが、1 週間以内に警察と事故現場に行き、事故車両を見、警察の見立てと現場の状況を写真記録します。事故直後の記録写真を見せてもらい、それを撮影確認します。事故車両は全体を見通した写真の他に、損傷面をいろいろな角度から、塗料や皮膜の特徴が判るように記録します。
 事故現場では路面の擦り痕や飛散物は残らず記録し、気になったところは詳細に、最後に 30M 程度離れたところから全体を見渡す状態も記録します。

3) 警察で目撃者を聞き、その目撃者と救急隊の隊長から様子をお伺いし、必ずメモります。

4) 通報者や目撃者の他に事故直後現場に駆け付けた方が居られます。どのような方か、なるべく詳しく、交通状況等も推定できるように確認します。特に、飛散した落下物を掃除した人物と作業した時刻及び事故直後の交通整理の状況は詳しく確認します。

5) 500 メートルぐらい現場の前後を走行し、交通状況を把握し、交通標識や信号を、また工事中の場合には仮設信号機や標識の類い等について写真記録します。

第2節 態様推定のための整理
 事故がどのように発生し、どのような経過を辿り収束したか、事故態様を把握する必要があります。工学的な事実関係として整理します。

1) 事故直後の両車輌や当事者の位置や損傷の状態を、平面図に落とせるように整理します。

2) 両車輌が最初にコンタクトした場所を探します。路面のタイヤ痕や落下飛散物が、何処にどのようになっていたか、広がり具合や展開後にあった場所を正確に記録します。大きな物体は車輌の進行方向の影響を受け、細かな飛散物は打撃を受けた場所に散らばります。路面のタイヤ痕は痕跡を付けるまでの空走時間があることに留意します。

3) 損傷した事故車両の損傷前の状態を把握します。片側が破損している場合、反対側に正常面があり、写真を反転すれば得ることが出来ます。

4) 事故車両の 4 面図をメーカーから入手します。保険会社が鑑定に参加している場合、そこに請求して入手します。

5) 最も変形している鋼板部の正常な姿や位置を求め、そこからの変位量を 3 次元で求めます。

6) 3 次元の変位量から、圧し込んだ変形角度を求めます。

7) 両車輌の疵の特徴に着目し、各部位が擦過したのか、圧し込んだのか、撥ね返ったのか、相互の部位の作用関係を求めます。

8) 路面に残されたタイヤ痕の位置を平面図におとし、変形してゆく状態や模様の有無を詳しく観察記録します。1 本であるのか、2 本であるのか、まっすぐか曲がっているか、断続していたり、途切れていたりしないか、特徴にも注意します。

9) 被害者や加害者の身体損傷や着衣・装備の損傷・脱落などから、できる限り鑑定人等の専門家の意見も聞きながら、事故態様を把握し、何故事故が起きたのか、今まで得てきた情報と照合して妥当なのか、確認します。

第3節 捏造が疑われたらば
 これらの事実や情報が集まらない場合、まともな事実が収集できていないか隠すかしていて、まともな事故処理が行われない危惧が生じます。

1) 事故直後の現場状況の写真を求めます。「捜査に影響」という口実を付け出し渋りますが、事故直後の状況は隠しようのない実態を示すもので、誰彼を選択して隠す必要はありません。当事者の誰にも事実を知る権利があります。通常事故車両は交通整理のために移動されますが、元々あった場所は白墨で位置が残されるようにされ、移動過程も識別できるようになっています。落下物の移動なども、移動過程が推測できなければ捜査が不完全なだけなのです。不完全さをごまかすのに捜査中として隠すのは間違っています。

2) 事故直後駆付けた方や、現場付近の居られた方に、事故音や事故直後の人の動きなど、関連情報を収集します。特徴のある情報がつかめることがあります。

3) 目撃者は、それらの関連情報との整合性等にも注意して妥当性判断の参考にします。

4) 信号や標識、場合によっては道路形状などに問題が無かったか、注意して観察します。

5) 工事中の場合には、仮設信号機や標識類の増減や不足・運用状況、誘導員の配置・運用状況にも注意して観察し直します。

6) 不自然に目撃者が現れた場合、その客観性や相手人物について調査する必要が出てくる場合もあります。

交通事故解析の方法とツール

 交通事故の真相を解明するためには、交通事故態様の事実を把握しなければなりません。下川浩央バイク事故で適用された解析方法と採用したツール類について示します。ここでは概要と全体像を示し、詳しくはひろの会正会員等に公開されたサーバにて、御確認ください。ひろの会では、浩央バイク事故での記録公開を手始めに、会員等から寄せられた事故解析等の資料を集め、適宜整理して正会員にはそのまま、一般の方には、ポイントとなる点を公開し、市民自らがノウハウを蓄え、不当な捏造や不幸な冤罪を防止する為に場を提供して参ります。

1. 車両相互のコンタクト点
 乗用車とバイクの衝突事故であると、バイクが追突したのならば、乗用車の後部が損傷し、巻き込みであるのであれば、乗用車の側面に最初のコンタクト痕跡が付きます。後部なのか、前部なのか、左面か右面か、その場所と当たり方を確定しなければなりません。ところが事故痕跡は、両車輌のいろいろな部分がぶつかり合った痕跡が混在し、腑分けするのは容易ではありません。
 当該車輌の4面図を入手し、両車輌の側面図同士や平面図同士を突き合わせ、進行に従って動かして行くと、最初のコンタクト点が何処で、付属部品が何処でどのように作用し合ったかが可視化できます。その方法を説明しています。また、ブレーキを踏んでいたときには交接する位置がどのように変化するか、その注意点などについても言及しています。

2. 車輌相互の衝突角度
 バイクの追突であるのであれば衝突角度は0°です。巻き込みであれば、衝突角度が存在します。事故後の損壊している車輌からどのように衝突角度を導くかを説明しています。
 専門家でないあなたが、正常な車体形状をどのように得るか、そして、損壊している乗用車を前に、どのように衝突角度を導き、その角度を説明できるようにするための証明写真をどのように撮って証拠とするのか、その手順を具体的に示しています。

3. 車輌相互の事故態様の推定
 乗用車とバイクの事故で、事故が発生してから終了するまでに、どのような位置関係にあったのか、損傷した両車輌の損傷痕跡から、その経過をどのように読み解き、事故態様の全体像を推定して行くのか、乗用車車輌の変形の相応関係の見方、乗用車タイヤ表面に残った痕跡の見方、バイク車体の変化の読み解き方、そしてバイク車輪に残された擦過痕などの見方を示しています。

4. 路面のタイヤ痕
 道路上のタイヤ痕を見て、“乗用車かバイクがスリップして付けたものだ”と、そう説明されれば、その言葉を信じてしまうでしょう。道路に残されたタイヤ痕がどのように発生し、どのように残されているのか、事故の既往を推定する作業に普段接していないので、深く疑問を持つことはないと思います。そこで、車輪の模様が路面に移ったトレンド痕、タイヤ痕の幅の見方、タイヤ痕の本数に対する理解の仕方、乗用車やバイクが路面に付けるタイヤ痕の軌跡のあり方などから事故態様と路面タイヤ痕の形状の見方を説明し、現場でタイヤ痕の写真を撮るときに気をつけなければならないことを示します。更に、通常の写真として撮影された透視写真から、その特徴を客観的に提出するために、平面図に落し込む方法と注意すべき点について説明しています。市販されているアプリケーションソフトで客観的な証明に使える平面図を得、路面上に展開された事故経過を示すことに資することが出来ます。

5. 道路上の落下物
 交通事故が起きた現場には、様々なものが散らばっています。事故の結果です。しかしそれらの落下物を事故態様解明にどのように使えば良いか説き起こします。先ず事故車両の脱落部品から落下物をリストアップします。それらの部品が全て記録されていなければ現場の捜査が不完全なことになります。ミスなのか、或いは何か意図があったのか。そして、大きな部品の落下状態やガラスやレンズのように粉砕される部品類の落下位置の解釈、それら粉砕されやすい部品が大きな形状のママ残ったときの損傷状態の理解の仕方、そして、油滴や微粉末が路面に残ったときのその痕跡を追うための確認の仕方などについて説明します。事故開始地点を示す落下物があるので、重要な確認です。
 事故直後の生々しい写真が隠され、事後に写した写真を実況見分写真として提出されているような場合、どのようにして隠された事実を掘り起こすのか、画像処理アプリケーションを使って検出する方法を示しています。更に、赤橙色の車幅・ブレーキランプの粉砕破片の色に着目して、路面に残った微細片と脱落した部品の同一性を示す分光分析の見方について説明しています。
 更にここにあるような脱落部品を完全に記録していない警察の捜査には、不十分な捜査か、因果関係をねじ曲げようとしているかの疑惑が生じます。操作精度の判断にもなり、検事や裁判官に捜査のし直しを要求すべき点にもなります。改めて、SNS等を通じて、市民からの情報提供を呼びかけるべきか否かの判断基準にもなります。

6. 道路上の衝突開始点
 路面に印象されたタイヤ痕は、事故開始点の推定に使えます。スリップ痕の場合には路面に印象するまでの空走距離があるので、その分進行方向をさかのぼった地点に衝突地点があると考えられます。その他のタイヤ痕でも、空走距離は考慮されるべきです。
 また、ガラス片やランプ・レンズ片等の微粉砕片は、両車輌の衝突地点を中心に特にその部品が打撃を受けた場所に拡がります。事故態様の解析を通じ部品打撃点の確定から事故態様解析に従った衝突地点の推定に結びつけることになります。

7. 終了点
 事故後両車輌と乗員が何処にどのような姿勢でいたか、大変に重要なポイントです。バイク追突の場合、衝撃を支えきれず乗員は前に飛んで行くそうです。バイクから離れた位置に落ちています。乗用車とバイクが同じ場所にあれば巻き込みの可能性が高く、バイクにまたがったままであれば、停止車への衝撃的な衝突では無かったことを示します。直後の位置や姿勢、乗員の様子などは大事な情報です。

8. 人体と着衣
 飛んでいってどこかに当たれば、そこにダメージを受けますし、着衣には乗用車に当たった場所の塗料が付着し裂き傷が生まれます。手足やズボンなどにダメージがないことはありえないでしょう。
 浩央バイク事故では、乗用車の左脇にバイクがありそこにまたがった状態で浩央がいた事から、先ず左折進路妨害が疑われました。両者の損傷打撃の観察から見立てが確定して行きました。

9. 装備類
 バイク装備品には、パンや飲料ボトルなど打撃を受ければすぐ潰れ或いは水が吹き出るものもありますし、長期の旅ではメーター計測器など壊れやすいものも入るときがあります。これらが損傷していなければ、これらに力が加わらなかったことになります。
 ヘルメットや手袋、靴などにも打撃損傷が残ります。何処にどうぶつかったか、推定する材料となります。

10. 目撃者
 目撃者は大事な確認点です。
 なるべく広く情報を集め、整合性を判断しながら目撃者証言を集めることが大事です。
 事故直後からの証言も、いろいろな証言の妥当性を判断し、捏造を防ぐためにも大事な証拠です。
 証言して下さる方の事情にも配慮し、事実確認に向かって証言を広く集めましょう。